2017年度版 中国共産党政府による全能神教会迫害に関する年次報告書 - 宗教と人権について考える会

最新ニュース

2017年度版 中国共産党政府による全能神教会迫害に関する年次報告書

        別名、東方閃電としても知られる全能神教会 (CAG)は、長年中国共産党政府から最もひどい迫害を受けている中国のハウス教会の1つである。1991年の設立以来、同教会は中国共産党政府による残酷な弾圧と迫害に耐え続けてきた。1995年に中国共産党政府は、「宗教の名を借りた詐欺:気功」と「教会リーダーの神格化」などの罪状を捏造して、邪教として同教会を非難し、同教会に対する残酷な弾圧と迫害を行った。概算の統計によると、2011年から2013年までのわずか2年の短期間に中国共産党政府により違法に逮捕され、拘留され、処罰を受けた同教会の信者数は、380,380人に達した。このうち 43,640人はいかさま裁判により様々な方法で拷問を受けている。この中には迫害により死亡した13人も含まれている。現時点でも、共産党が同教会のキリスト教徒を殺したという十分な証拠書類がある事例は既に44件ある。(詳しくは、「全能神教会に対する中国共産党の迫害の略歴(A Brief History of the CCP’s Persecution of the Church of Almighty God)を参照。)2017年も、共産党による同教会の弾圧は引き続きエスカレートしている。

中国共産党政府は宗教の信仰に対する弾圧を強めている。

2017年に中国共産党政府は、「二高」 (中国の最高裁と最高検察院)の司法解釈を発表し、新しい「宗教問題に関する規制」を可決することで、宗教の自由に対する公民権を更に制限して、宗教信仰に対する弾圧と迫害を強化した。

20171月に中国の最高裁(最高人民法院)と検察院は共同で、「最高裁と検察院の解釈:邪教組織を組織化して活用することにより法律の強制執行を妨害する等の犯罪に対応する際の法律適用に関する諸問題について」を発表し、1201721日に正式に施行した。この「解釈」では、いわゆる「邪教組織」に関する宣伝資料を判断するために、定義、判決、手続を設定し、7種類の自由な宗教活動に対して厳しい処罰を定めている。この7種類とは、学校や教育機関と研修機関における説教、未成年に対する説教、公務員の宗教活動への関与などである。この文書の発行により刑法の範囲が拡大され、刑法に市民の政治的権利の剥奪と個人の自由の制限が組み込まれ、共産党が同教会などのハウス教会のキリスト教徒を更に厳しく有罪化・処罰できるよう、更に多くの法的根拠が提供されている。
2017826日、中国の李克強首相は改定された「宗教問題に関する規制」2 に署名した。この規制は、201821日に施行される予定である。この新規制は、今までより遥かに宗教機関の運営を注視し、未登録の宗教活動の宣伝・活躍に対する制限を著しく強めている。更にこの規制では、今まで政府が公に認めていた宗教教育と研修及び海外交流を明確に禁止し、宗教関連の資金調達、刊行物の発行、オンライン宣伝に対する禁止規定と監督規定を多数追加している。新しい規制では、政府部門と宗教問題国家管理局に監視権限と管理権限を付与し、今後の宗教信仰の抑圧、迫害及び禁止に向けて強力な法的根拠を与えている特に同規制の文面では、ハウス協会の宗教活動、宗教教育、海外宗教活動を全て完全に抑え込んでいる。

中国共産党政府は「迫害範囲を更に拡大する特別世帯監視業務の開始命令」を発行した。

2017114日、「国家最高人民法院長フォーラム(国家最高裁裁判長フォーラム)」中に中国最高裁のツォウ・チャン(周强)裁判長は邪悪な邪教との闘争を更に真剣に行う必要性に言及し、同教会を処罰する取り組みに更に尽力するよう求めた。

2017年年初から、中国共産党政府は中国本土で全面的な特別世帯監視(ドアノック作戦)を開始した。この作戦では、家庭と世帯の全てのドアをノックして、いわゆる「邪教」の信者を捜索することで、「包括的な」「捜査網」による捜査を実施する。中国共産党の党紀によると、3この作戦の目的は、いわゆる「邪教」の信者活動のシステム、信者、方向性を包括的に把握するとともに、逃げた信者を追跡して捕まえる作戦を実行しつつ邪教信者の情報管理システム(データべース)」を共有し、これにより管理・監視ネットワークと邪教の全てを記載した「一元管理帳」を創造することである。この作戦により、同教会のキリスト教信者は更に大規模な迫害に晒されている。

20171月に開始されたばかりで1月から同年930日までの不完全な統計ではあるが、同教会の少なくとも3,362名のキリスト教信者が、中国本土の32省、自治区及び市町村で、共産党による迫害にさらされた。2,122名が自宅監視状態に置かれて、個人情報を収集され、「保証状」(棄教や共産党への忠誠心を保守する保証書)を書くように脅かされ、写真を撮られたりビデオに録画されたり、監視されたり、指紋や血液サンプル、髪を採取されたりするなどされ、204名が自宅を違法に捜索され、1,036名が違法に逮捕されている。 今年迫害された人々に関する統計のうち、十分な証拠書類がある件のうち、57人が投獄、 25人が拷問、12人が強制的に思想改造をされ、 592人が短期や長期に拘留された。 (添付:「2017年迫害事件の抜粋」)

共産党政府は現在全面的な捜査を実施して同教会のキリスト教信者を不当逮捕中であり、そのため多くのキリスト教信者が身を潜めている。逮捕されたキリスト教信者や監視後釈放されたキリスト教信者の多くが接触不能になっているため、捉えられ迫害されたキリスト教信者全員に対して、包括的で詳しい調査を実施することが難しい状態である。2017年に逮捕・迫害された同教会のキリスト教信者の数となると、前述の統計は氷山の一角にすぎない。

共産党政府は「海外連合前線」作戦を拡大して、全能神教会に対する迫害の合法化を図っている。

2014年の「528日マクドナルド店殺人事件」以来、同教会のキリスト教信者は、中国共産党政府の残酷な逮捕と迫害から逃げるために、国外の様々な国に逃亡して難民の地位を求めざるをえなくなっている。これに対して、共産党政府はキリスト教信者に対する捕獲・迫害作戦を外国に拡大して、「海外共同戦線」作戦を強化している。この作戦の焦点は、他国で同教会を迫害することである。2017年に共産党政府は、国内居住者の中国脱出を厳しく管理する一方で、海外の同教会キリスト教信者と家族の履歴を詳しく確認して、海外にいる同教会の信者が中国へ帰国するよう家族を利用して圧力をかけようとしていた。中国共産党は海外に逃亡したキリスト教信者の親戚にパスポート申請させて、彼らを組織化して海外世論を操作させ、同教会を罠にかけ中傷し名声を傷つけて攻撃し、真実を知らない大衆が同教会に対して立ち上がって対抗するように仕向け、中国国内で迫害を続けるべく同キリスト教信者に中国に帰国するよう強制しようと試みている。

同時に、共産党政府は西洋諸国の専門家、学者、ジャーナリスト、海外在住中国人リーダーを招き、でたらめな情報を巻き散らし続けて、同教会を中傷して非難している。この目的は西洋の有力者に同教会に対する弾圧と迫害を擁護してもらうことである。

201745日に共産党が発行した「2017年河南省党委員会上層部による邪教問題防止・対応に関する主要作戦ポイント」では、中国共産党に好意的な海外筋を全面的に活用して、西洋諸国の有力な専門家、学者、ジャーナリスト、海外の中国人リーダーなどを動かし、中国共産党の大義名分を支援してもらうことを提案している。

同年6月と9月には、共産党は河南と香港で別々に国際反邪教学会会議を開催した。同会議の中核議題は、共産党による「邪教」の定義及び共産党が同教会を邪教組織として非難する理由を討議することであった。共産党は同会議に著名な欧州人や米国人の宗教専門家や学者を数人招き、「528日マクドナルド店殺人事件」などの噂を利用して、同教会に対する中傷を続けた。西洋の学者を混乱させ、共産党の同教会非難に同意させ、同教会に対する迫害の動きを合法化することで、同教会を徹底的に根絶しようとしたのだ。

このようにして新興宗教研究センター(CESNUR)の常務取締役のマッシモ・イントロヴィーネ(Massimo Introvigne)教授は、共産党が開催した会議に2度招聘され、招遠市の「マクドナルド店殺人事件」について詳しい研究を行った。研究の最後に同教授は次のように結論した。528日の招遠市の殺人事件は同教会と全く関係がなく、いずれの犯人も同教会の信者になったことはないと。同教授は528日殺人事件関連の研究を要約した記事も、CESNURジャーナル(9月‐10月号)に発表した。4それから間もなく、米国バージニア州リッチモンドのバージニア・コモンウェルス大学で宗教研究と社会学の教鞭を取る著名な米国人教授ディヴィッド・G.ブロムリー(David G. Bromley)が、マッシモ・イントロヴィーネ(Massimo Introvigne)教授と共同で、マクドナルド店殺人事件に関して共産党から提供された文書を調査した。ここでもまた犯人は「同教会とは別の独立的なグループのメンバー」であり、同教会信者ではなかったことが示唆された。これらの宗教専門家の研究結果は、共産党が流した「招遠市の殺人事件は同教会の仕業」という中傷的な噂を打ち砕いた。5「信念の自由のための欧州連合」、6イタリアのカウンセリング・センターSRS(セクト・宗教・スピリチュアリティ)、7 韓国の主要ビジネス・ジャーナル(프라임경제)NBNニュース9などの報道機関も、528日マクドナルド店殺人事件を客観的に報道した。528日事件の裏に隠されていた本当の真実が、徐々に世界に知られ認められるようになった。
添付 I: 2017年の事件(抜粋)